台湾の資本金確認|会計士による資本額査核の対象・資本額変動表・技術出資の鑑定価格意見書
設立・増資の登記は会計士が資本額を査核。簽証は基準日当日、株式出資の評価日は2か月以内。
台湾で会社を設立するとき、資本金が実際に払い込まれたかどうかは、会計士の査核を受けた報告書で証明します。これを定める「会計士査核簽証公司登記資本額辦法」は、公司の設立登記だけでなく、増資、減資、合併、分割などの変更登記にも関わります。この記事では、辦法(2018年11月8日修正、2018年11月1日施行)にもとづいて、会計士が何を確認するか、会社が何を準備するかを整理します。登記の規費は別稿で扱っています。
根拠は公司法第7条です。設立登記の資本額は、会計士の査核簽証を受けなければならず、その文書は、設立登記の申請時、または設立登記後30日以内に送ります。変更登記の資本額は、先に会計士の査核簽証を受けます。査核の方法は、この辦法が定めています。
対象になる登記
辦法第2条第1項は、公司が、設立登記、または合併、分割、収購、株式交換、株式転換、実収資本額の増減などの変更登記を申請するとき、資本額変動表と、案件の性質に応じた附表を、会計士に送って査核を受けると定めています。
附表には、次のようなものがあります(同項の抜粋)。
- 株主が払い込んだ現金の明細表
- 債権で株金に充てる明細表
- 財産で株金に充てる明細表
- 労務で株金に充てる明細表
- 配当金、法定盈余公積、資本公積を資本に組み入れる明細表
- 合併、分割、収購、株式転換、株式交換の配株の明細表
- 減資の明細表
資本額変動表と附表には、公司の印と、公司を代表する責任者の印または署名が必要です(同条第4項)。
役員(董事、監察人)と持株10%以上の株主の分だけを項目ごとに明記し、10%に満たない株主の分を、まとめて記載することも認められます(同条第2項。任意の扱いで、対象になる附表は一部に限られます)。
現金出資の確認
第3条第1号は、株主が現金で払い込む明細表に、株主の氏名、払い込みの日と金額、銀行に預け入れた日と口座を記載し、送金票の写しを添付するよう求めています。送金票がなければ、通帳、取引明細、照会票の写しで代えられます。
会計士は、第7条第2項第1号により、株金の払い込みの状況を査核します。銀行に預けたものは預金証憑と照合し、手形などで入金したものは兌現されたかを確認します。株金をすでに使っている場合は、会社が作成した使途の一覧を査核し、各項目の証憑と照合します。
技術や財産、株式による出資
第3条第3号は、財産で株金に充てる明細表に、株主の氏名、財産の種類、数量、価格または評価基準、会社が与える株式を記載するよう求めています。技術の評価額での出資、株式による抵充、その他の財産による抵充は、財産が設立前または増資基準日前に、法に従い会社に登記されていることを記載します。登記の規定がないものは、会社に引き渡されたことを記載します。
第7条第2項第3号は、技術の評価額による出資と、その他の財産による出資について、会計士が、関係機関または専門家の鑑定価格意見書を取得して、それを採用するかを評価すると定めています。ただし、華僑および外国人の投資会社は除かれます。
株式で出資する場合の評価は、第7条第2項第4号が定めています。
- 上場も上櫃も興櫃もしていない会社の株式:衡量日の純資産額で評価。
- 興櫃会社の株式:衡量日の平均成交価で評価できる。その日に成交がなければ前日の価格、価格が激しく変動したときは前30日間の各日の平均成交価。
- 上場・上櫃会社の株式:衡量日の終値で評価できる。その日に取引がなければ前日の終値、価格が激しく変動したときは前30日間の終値の平均。
- 衡量日は、基準日前の2か月以内でなければなりません。
外国会社の支店
辦法第5条は、外国会社が台湾に分公司を設けるとき、または台湾の営業所用資金を増減するときに、「営業所用資金変動表」を作成し、分公司と台湾内の責任者の印または署名を付けて、会計士に送ると定めています。設立または増加の場合は、通帳、取引明細または照会票の写しも添付します。
閉鎖性株式会社
第7条の最後の項は、閉鎖性株式会社の資本額の査核では、会計士が株主の人数を確認し、技術や労務での出資があれば、全株主の同意書、定款に記載された出資の種類、抵充の金額、会社が与える株式数を確認すると定めています。この場合、鑑定価格の報告書は添付不要です。労務出資は、株主の氏名と、主管機関が公告した一定割合に合っているかを確認します。
報告書の内容
第9条は、会計士の査核報告書に、次の事項を記載するよう定めています。
- 査核した資本額(営業所用資金)変動表、附表の名称と日付
- 公司の名称と統一編号(設立の申請は不要)
- 会計士の査核の範囲と意見
- 会計士の署名と印
- 査核簽証の日付
- 会計士事務所の名称、所在地、電話番号
簽証は、設立、増資、減資、併購の基準日の当日、金融機関の営業終了時に初めて行えます(第9条)。
手順
- 設立または変更の内容に応じて、資本額変動表と附表を作る。
- 株主から現金の払い込みを受け、銀行に預け入れて、送金票を保管する。
- 技術や財産で出資する場合は、鑑定価格意見書を用意する(外国人投資会社を除く)。
- 資本額変動表と附表に、会社の印と責任者の署名を付ける。
- 会計士に送り、査核を受ける。
- 基準日の当日、金融機関の営業終了後に、簽証を受ける。
- 査核報告書を登記の申請書類に添付する。設立登記は申請時か設立登記後30日以内、変更登記は査核を先に受ける(公司法第7条)。
注意点
- 簽証の日は、基準日当日の金融機関の営業終了後です。基準日より前には簽証できません。
- 株式出資の評価の衡量日は、基準日前2か月以内です。
- 外国人投資会社は、技術や財産の出資で鑑定価格意見書の取得対象から除かれます。
- 会計士の報酬は、規費とは別です。額は本稿では扱いません。
よくある質問
台湾の会社の資本金は、誰が確認しますか。
会計士が、資本額変動表と附表を査核し、報告書を出します(辦法第2条、第4条)。
現金で出資するとき、何を保管しますか。
株主ごとの払い込みの日と金額、銀行への預け入れの日と口座を記載し、送金票の写し(または通帳、取引明細)を添付します(第3条第1号)。
技術で出資できますか。
できます。公司法第156条第5項は、株式会社の株主の出資を、現金のほか、技術でも充てられると定めています。充てる額は董事会の決議が必要です。会計士は鑑定価格意見書を取得して評価します(外国人投資会社を除く)。閉鎖性株式会社は、全株主の同意書などを査核します(辦法第7条)。
外国会社の支店の資金は、どう証明しますか。
営業所用資金変動表を作り、会計士の査核を受けます(第5条)。
出典
- 全國法規資料庫「公司法」第7・156條(2026-10-17 查證):公司應於申請設立登記時或設立登記後三十日內,檢送經會計師查核簽證之文件。
- 全國法規資料庫「會計師查核簽證公司登記資本額辦法」第2・3・4・5條(2026-10-17 查證):應依本辦法編製資本額變動表及依案件性質備具之下列附表送交會計師查核。
- 全國法規資料庫「會計師查核簽證公司登記資本額辦法」第7・9條(2026-10-17 查證):除僑外投資公司外,會計師應取得有關機關團體或專家之鑑定價格意見書。