台湾の記帳代行は記帳士か会計士か|記帳士の業務5項目と、簽証を扱えない範囲
記帳士の業務は5項目。査核簽証と訴願・行政訴訟は含まれず、会計士が行う。
台湾に子会社を作った日本企業は、日々の記帳や税務申告を、現地の専門家に委任することが多くなります。台湾には、会計の専門家として、記帳士と会計士の2つの資格があり、それぞれ根拠の法律と、できる業務が分かれています。この記事では、記帳士法と会計師法の条文にもとづいて、どちらに何を頼めるかを整理します。報酬の水準は扱いません。
記帳士の資格
記帳士法第2条第1項は、台湾の国民で、記帳士の試験に合格し、同法にもとづいて記帳士の証書を受けた人が、記帳士になれると定めています。同条第2項は、記帳及び報税代理業務人の登録執業証明書を持つ人も、証書に換えて記帳士になれると定めています。
記帳士の業務
記帳士法第13条第1項は、記帳士が、登録した区域で、次の業務を行えると定めています。
| 号 | 業務 |
|---|---|
| 1 | 委任を受けて、営業、変更、廃止、停業、復業などの登記事項を行う |
| 2 | 委任を受けて、各種の税の申告と申請を行う |
| 3 | 税務の相談を受ける |
| 4 | 委任を受けて、商業会計の事務を行う |
| 5 | その他、主管機関が許可した、記帳と報税の事務に関わるもの |
同条第2項は、これらの業務に、各種の税の査核簽証の申告と、訴願・行政訴訟の事項は含まれないと定めています。
会計士の業務
会計師法第39条は、会計士が行える業務を、次のように挙げています。
- 財務報告やその他の財務情報の簽証
- 会計制度の設計、管理、税務相談、監査、調査、整理、清算、鑑定、財務分析、資産評価、財産信託など
- 検査人、清算人、破産管財人、仲裁人、遺言執行人、遺産管理人、更生管財人などの受託者
- 税務案件の代理人、または営利事業所得税に関する申告の簽証
- 工商登記または商標登録の代理人
- 上記の業務の訴願と、税務行政訴訟の代理人
- 継続的な査核、システムの信頼性の認証、投資成績の認証などの認証業務
- その他、会計、監査、税務に関わる事項
会計士の業務の範囲は、記帳士のものより広く、簽証や税務行政訴訟まで含まれます。
委任の方法
記帳士法第14条は、記帳士が業務を代理するとき、委任者と委任状を取り交わし、案件とともに受理機関に提出すると定めています。委任状には、次の事項を記載します。
- 委任者と受任者の氏名または名称、住所、受任者の証書番号
- 委任する案件の内容と委任の権限
- 委任の日付
第15条は、記帳士が委任を受けた後は、正当な事由がなければ契約を終了できず、終了するときは15日前に委任者に通知すると定めています。
無資格で代行した場合
記帳士法第34条第1項は、記帳士の資格を取得せずに、第13条第1項第1号から第3号と第5号の業務(登記の代理、税の申告と申請、税務相談、その他の関連事務)を行った人に、主管機関が3万元以上15万元以下の罰金を科すと定めています。ただし、第35条第1項や他の法令で、報税の業務を行える人は除かれます。
使い分けの整理
条文から読み取れる使い分けは、次のとおりです。
| やりたいこと | 記帳士 | 会計士 |
|---|---|---|
| 日常の記帳(商業会計事務) | 第13条第1項第4号 | 第39条第1項第8号などに含まれる可能性 |
| 税の申告の代理 | 第13条第1項第2号 | 第39条第1項第4号 |
| 営業登記・変更の代理 | 第13条第1項第1号 | 第39条第1項第5号 |
| 営利事業所得税の簽証申告 | 含まれない(第13条第2項) | 第39条第1項第4号 |
| 財務報告の簽証 | 含まれない(第13条第2項は税の査核簽証を除外) | 第39条第1項第1号 |
| 訴願・行政訴訟 | 含まれない | 第39条第1項第6号 |
会計士の欄の「含まれる可能性」は、条文の文言から読み取った整理で、個別の案件での扱いは確認が必要です。
手順
- 依頼したい業務(記帳、申告、登記、簽証、訴訟)を書き出す。
- 上の表で、記帳士で足りる業務と、会計士が必要な業務を分ける。
- 委任先の資格(記帳士の証書番号、会計士の資格)を確認する。
- 委任状を取り交わす。委任の内容と権限、日付を記載する。
- 契約を終了する場合の通知(記帳士は15日前)を、契約書に確認する。
注意点
- 記帳士は、登録した区域で業務を行います。委任先の登録区域を確認します。
- 資格のない人が記帳士の業務を行うと、3万元以上15万元以下の罰金の対象です(第34条)。
- 簽証が必要な申告は、記帳士に委任できません。
- 報酬、会計ソフト、日本語の対応は、条文では決まっていません。
- 台湾の国民が資格の条件です。外国人が記帳士になれるかは、記帳士法第2条に明記されていません。
よくある質問
記帳士は何ができますか。
登記の代理、税の申告と申請、税務相談、商業会計事務、主管機関が許可した関連事務の5項目です(記帳士法第13条)。
記帳士は簽証の業務を行えますか。
行えません。第13条第2項は、各種の税の査核簽証と、訴願・行政訴訟を、記帳士の業務に含めないと定めています。
会計士は何ができますか。
財務報告の簽証、税務相談、税務案件の代理、営利事業所得税の簽証申告など、第39条に8項目の業務が挙げられています。
記帳士との契約は途中で終了できますか。
正当な事由がなければ終了できません。終了する場合は、記帳士が15日前に通知します(記帳士法第15条)。
出典
- 全國法規資料庫「記帳士法」第2・13・14・15條(2026-10-17 查證):前項業務不包括受委任辦理各項稅捐之查核簽證申報及訴願、行政訴訟事項。
- 全國法規資料庫「會計師法」第39條(2026-10-17 查證):稅務案件代理人或營利事業所得稅相關申報之簽證。