台湾の基本税額(最低税負担制度)|営利事業は基本所得額から60万元を引いて12%、一般所得税額との差額を納付
営利事業は基本所得額から60万元を引いて12%を掛け、通常の税額との差額を納める。60万元以下は対象外。
台湾の営利事業所得税には、通常の計算とは別に、最低限の税負担を確保するための「基本税額」の制度があります。租税の優遇や所得の免税で、通常の税額が小さくなった会社でも、一定の基本税額までは納める仕組みです。台湾子会社が、免税の所得や投資抵減を利用する場合に影響します。この記事では、所得基本税額条例と、財政部の公告にもとづいて、基本税額の計算、一般所得税額との比較、罰則を整理します。個人の基本税額や、各優遇の詳細は扱いません。
制度の仕組み
所得基本税額条例第4条は、営利事業の一般所得税額が基本税額以上のときは、その年度に納める所得税を、所得税法などの規定で計算したとおりとすると定めています。一般所得税額が基本税額より低いときは、所得税法などの規定による計算に加えて、基本税額と一般所得税額との差額も納めます。
第5条は、営利事業が所得税法第71条第1項などによる所得税の申告をするとき、この条例の規定に従って、基本税額を計算、申告、納付すると定めています。
第6条は、営利事業の一般所得税額を、所得税法の規定で計算した納めるべき税額から、他の法律による投資抵減の税額を引いた残りと定めています。
基本所得額
第7条第1項は、営利事業の基本所得額を、所得税法の規定で計算した課税所得額に、次のような所得額を加えた合計と定めています。
- 所得税法第4条の1と第4条の2により課税が停止された所得額(証券取引所得など)。
- 廃止された産業昇級条例などにより、営利事業所得税が免除された所得額。
- 科学工業園区設置管理条例第18条などにより免税とされた所得額。
- 企業併購法第37条により免税とされた所得額。
- 国際金融業務条例第13条により免税とされた所得額。
- この条例の施行後に、法律で新たに加えられた免税の所得額で、財政部が公告したもの。
基本税額の計算
第8条は、営利事業の基本税額を、基本所得額から一定の金額を引いた額に、行政院が定める税率をかけた額と定めています。税率は、12%以上15%以下の範囲で、行政院が決めます。
財政部は、2025年11月19日の公告(台財税字第11404664830号)で、2026年度(民国115年度)の営利事業の基本所得額が60万元以下の場合は、この条例による所得税を納めなくてよいと公告しています。60万元を超える場合の基本税額は、基本所得額から60万元を引き、行政院が定める税率(現行の徴収率は12%)をかけた額です。条例の本文には50万元とありますが、第8条第2項により、この引く金額は調整・公告されます。
施行細則第12条第1項は、基本税額の公式を「(基本所得額 − 控除額)× 徴収率」としています。
計算の例(本稿の試算)
2026年度で、基本所得額が1,000万元の営利事業の例です。
- 基本税額 =(1,000万 − 60万)× 12% = 112.8万元。
- 一般所得税額が、たとえば課税所得200万元に20%をかけた40万元の場合は、基本税額の方が大きくなります。
- 基本税額と一般所得税額の差額は、112.8万 − 40万 = 72.8万元で、この差額を追加で納めます。
この例は、基本所得額に免税の所得800万元が加算されて1,000万元になる場合を想定した、仮定の数字です。
差額の扱い
施行細則第12条第2項は、一般所得税額が基本税額より低い場合の差額から、国外で納めた所得税額、まだ控除していない暫繳税額、まだ控除していない扣繳税額を引いて、申告の前に自分で納めると定めています。
条例第9条は、差額として納めた税額が、所得税法第66条の3による株主可扣抵税額帳戸の残高に計上されると定めています。
罰則
第15条第1項は、基本所得額を計算して申告したが、漏れや過少の申告で税額が不足した場合は、不足した税額の2倍以下の罰金を科すと定めています。同条第2項は、基本所得額を計算も申告もせず、調査で課税所得額が見つかった場合は、補徴する税額の3倍以下の罰金を科すと定めています。
手順
- 通常の営利事業所得税の課税所得額と、一般所得税額(投資抵減の後)を計算する。
- 基本所得額に加える、免税の所得額や証券取引所得などを集計する。
- 基本所得額が60万元(2026年度)以下かを確認する。
- 60万元を超える場合は、60万元を引いて12%をかけ、基本税額を求める。
- 一般所得税額と基本税額を比べ、基本税額が大きければ差額を計算する。
- 差額から、国外で納めた税額などを引いて、申告の前に納める。
注意点
- 引く金額は、年度ごとに公告されます。条例の本文の50万元ではなく、公告された額を使います。
- 税率は12%以上15%以下の範囲で行政院が決めます。公告で現行の率を確認します。
- 基本所得額の加算項目は、制度の対象ごとに異なります。
- 個人の基本所得額の免税額度は、本稿では扱いません。
よくある質問
2026年度の営利事業の基本所得額は、いくらまで対象外ですか。
財政部の公告では、60万元以下なら、所得基本税額条例による所得税を納めなくてよいとされています。
基本税額の税率は。
行政院が12%以上15%以下の範囲で定めます。現行の徴収率は12%です。
通常の税額が基本税額より大きければ、追加で納めますか。
納めません。一般所得税額が基本税額以上なら、所得税法などで計算した税額だけを納めます(第4条)。
申告を怠ると、どうなりますか。
漏れや過少の申告は、不足税額の2倍以下の罰金です。未申告で調査により見つかった場合は、補徴税額の3倍以下の罰金です(第15条)。
出典
- 全國法規資料庫「所得基本稅額條例」第3〜9・15條(2026-10-17 查證):該稅率最低不得低於百分之十二,最高不得超過百分之十五。
- 財政部中區國稅局「115年度營利事業計算基本稅額時基本所得額應扣除之金額」(2026-10-17 查證):115年度營利事業之基本所得額在新臺幣60萬元以下者,免依所得基本稅額條例規定繳納所得稅。