日本側の対外直接投資の報告|台湾子会社への出資は10%以上で事後報告・取引後20日以内
出資10%以上は対外直接投資。事後報告は20日以内(10億円相当額未満は不要)、5業種は事前届出。
台湾に子会社を設立する日本企業は、台湾の手続だけでなく、日本の外国為替及び外国貿易法(外為法)上の手続も必要になる場合があります。日本銀行の「外為法Q&A(資本取引編)」(2026年4月改訂)によると、日本の居住者が出資比率10%以上の外国法人の株式を取得することは「対外直接投資」で、原則として事後報告の対象です。報告の期限は、取引日または支払日のいずれか遅い方から20日以内です。台湾側の投資審議とは別の、日本側の手続として整理します。
対外直接投資とは
日銀のQ&Aは、対外直接投資を、居住者が外国での事業活動に参加するために、次のいずれかの外国法人の証券を取得すること、またはその外国法人に1年を超えて金銭を貸し付けることと定義しています。
- 居住者の出資比率が10%以上の外国法人(今回の取得で10%以上になる法人を含む)
- 居住者と、その100%出資子会社(居住者・非居住者を問わない)の出資比率の合計が10%以上の外国法人
- 居住者と共同出資者の出資比率の合計が10%以上の外国法人
- 役員の派遣、長期の原材料供給や製品売買、重要な製造技術の提供のいずれかの永続的関係にある外国法人
日本の親会社が台湾の子会社を100%出資で設立する場合は、1番目に当たります。
規制の3区分
対外直接投資の規制は、取引の前後で3つに分かれます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 許可制 | 取引を実行する前に許可申請が必要 |
| 事前届出制 | 取引の前に届出が必要 |
| 事後報告制 | 取引の後に報告が必要 |
事前届出の対象は、投資先の業種が次の5つの場合です。金額の下限はなく、金額にかかわらず届け出ます。
- 漁業(水産動植物の採捕事業)
- 皮革または皮革製品の製造業
- 武器の製造業
- 武器製造関連設備の製造業
- 麻薬等の製造業
届出書は、取引を行おうとする日の前2か月以内に、日本銀行を経由して財務大臣へ、正本3通を提出します。許可の対象または事前届出の対象になるもの、および事後報告が不要なものを除いた対外直接投資が、事後報告の対象です。
事後報告の内容
事後報告は、取引を行った日または支払等をした日のいずれか遅い日から20日以内に、報告書1通を日本銀行を経由して財務大臣に提出します。出資比率10%以上の外国法人の証券取得は、「対外直接投資に係る証券の取得に関する報告書(報告省令別紙様式第16)」で報告します。
日銀のQ&Aは、一定額以下の取引は報告が不要としています。様式第16で報告する取引は、10億円相当額未満は報告が不要です。外貨は基準外国為替相場または裁定外国為替相場で円に換算します。
提出期限が休日に当たる場合は、休日の翌営業日が期限です。20日の数え方は、取引の日または支払等をした日のうち遅い日の翌日から数えて20日目で、途中の休日も1日として数えます。
提出が遅れたり漏れたりした場合は、直ちに日本銀行に提出し、報告書の「その他の事項」欄に、期日内に出せなかった理由を簡潔に記します。事前届出書の提出漏れは、財務省に直接相談します。
海外預金の残高報告
台湾の銀行に口座を持つ場合は別の報告があります。居住者の海外預金は資本取引としての手続は不要ですが、海外預金の月末残高が1億円相当額を超える場合は、外為法第55条の9の「海外預金の残高に関する報告書」が必要です。居住者と非居住者の間で一定額を超える支払や受領をしたときは、輸出入の決済を除いて、別に「支払又は支払の受領に関する報告書」の提出が必要になります。
手順
- 台湾子会社への出資比率と、出資額(円換算)を確認する。
- 投資先の業種が、事前届出の5業種に当たるかを確認する。
- 5業種に当たれば、取引前の2か月以内に事前届出書を日本銀行経由で提出する。
- 5業種以外で、出資額が10億円相当額以上なら、取引日または支払日の遅い方から20日以内に、様式第16の報告書を提出する。
- 海外預金の残高や、支払の受領の報告が必要な金額に達していないかを、月次で確認する。
注意点
- 本稿は日本側の手続です。台湾側の投資許可や登記の手続は、別の稿で扱います。
- 報告不要の基準額は注記に示されているため、制度改正で変わる場合があります。提出前に日本銀行の最新のQ&Aを確認します。
- 為替換算の方法は、日銀が定める基準外国為替相場または裁定外国為替相場です。社内の為替レートでは換算しません。
よくある質問
台湾子会社への出資は外為法の報告が必要ですか。
出資比率10%以上は対外直接投資に当たり、原則として事後報告の対象です。様式第16の報告書は、10億円相当額未満なら不要です。
報告の期限はいつですか。
取引日または支払日のいずれか遅い方から20日以内です。期限が休日なら翌営業日です。
事前届出が必要な業種はありますか。
漁業、皮革・皮革製品の製造業、武器の製造業、武器製造関連設備の製造業、麻薬等の製造業の5業種です。金額にかかわらず、取引前の2か月以内に届け出ます。
報告書はどこに提出しますか。
日本銀行を経由して財務大臣に提出します。提出先は日本銀行本店の国際局です。
出典
- 日本銀行「外為法Q&A(資本取引編)」(令和8年4月改訂)(2026-10-17 確認):対外直接投資から、前記Q8.の「許可の対象になる対外直接投資」…を除いたものが、事後報告の対象になります。
- 日本銀行「外国為替及び外国貿易法に基づく手続」(2026-10-17 確認:報告書の様式と記入の手引の掲載先)