台湾で払った税金の日本側外国税額控除|控除限度額まで、超過分と余裕枠は3年繰り越し、取決め第22条
台湾で納めた税は控除限度額まで日本の法人税から控除でき、超過分と余裕枠は3年繰り越せる。
日本の会社が台湾で得た所得に、台湾で税が課されると、同じ所得に日本でも法人税が課されて、二重に課税されます。この二重課税を調整するのが、日本の外国税額控除です。日台の民間租税取決めの第22条も、日本の居住者が台湾で課された税を、日本の租税から控除すると定めています。この記事では、法人税法第69条と、取決め第22条の条文にもとづいて、控除の仕組み、限度額、繰越し、配当との関係を整理します。申告書の様式や計算の細かい手順は扱いません。
外国税額控除の仕組み(法人税法第69条第1項)
法人税法第69条第1項は、内国法人が各事業年度に外国法人税を納付する場合に、その事業年度の所得について計算した法人税額のうち、国外所得金額に対応する部分として政令で計算した金額(控除限度額)を限度に、その外国法人税の額を、法人税の額から控除すると定めています。
ただし、次の外国法人税の額は、控除の対象から除かれます(同項)。
- その所得に対する負担が高率な部分として政令で定めるもの。
- 内国法人の通常行われる取引と認められないものとして政令で定める取引に基づく所得に課される外国法人税。
- 内国法人の法人税に関する規定により、法人税が課されないこととなる金額を課税標準として課される外国法人税のうち、政令で定めるもの。
台湾で納めた営利事業所得税や、源泉徴収された税は、その所得が国外源泉所得に当たる場合に、この制度で控除の対象になり得ます。
国外所得の範囲(第69条第4項)
第4項は、国外源泉所得を列挙しています。たとえば、内国法人が国外事業所等を通じて事業を行う場合に、その国外事業所等に帰せられる所得や、国外にある資産の運用または保有による所得などです。台湾にある支店(PE)の所得は、国外事業所等に帰せられる所得として、この対象になります。
繰越し(第69条第2項・第3項)
第2項は、納付する控除対象外国法人税の額が、その事業年度の控除限度額などの合計額を超える場合に、前3年内事業年度の控除限度額のうち繰り越される部分(繰越控除限度額)があるときは、その範囲で、超える部分を法人税の額から控除すると定めています。
第3項は、納付する控除対象外国法人税の額が、その事業年度の控除限度額に満たない場合に、前3年内事業年度に納付した控除対象外国法人税の額のうち繰り越される部分(繰越控除対象外国法人税額)があるときは、控除限度額から納付額を引いた残りを限度に、その繰越額を法人税の額から控除すると定めています。
つまり、控除しきれなかった外国税は3年内の事業年度で使え、控除限度額に余裕があった分も3年内の事業年度で使えます。
日台取決め第22条
取決め第22条第1項は、日本の法令の規定に従い、日本の居住者が、取決めの規定に従って台湾で課税される所得を台湾内で得た場合に、その所得について納付する台湾の租税の額を、日本の租税の額から控除すると定めています。控除の額は、日本の租税の額のうち、その所得に対応する部分を超えません。
取決めは、配当、利子、使用料の台湾での源泉徴収について、上限の率を10%と定めています(別稿の取決めの記事参照)。取決めの上限を超える台湾の税の扱いは、この記事では調べていません。
台湾の会社が、台湾に固定の営業場所がない日本の企業などに払う場合の、台湾の国内法の源泉徴収の率(各類所得扣繳率標準第3条の利子・権利金、第4条の配当)と、取決めの限度税率は次のとおりです。利子には取決めで免税となる場合もあります。
| 所得 | 台湾の国内法の率 | 取決めの限度税率 |
|---|---|---|
| 配当 | 21% | 10% |
| 利子(債券や短期票券のものを除く) | 20% | 10% |
| 使用料(権利金) | 20% | 10% |
外国子会社からの配当との関係
法人税法第39条の2は、内国法人が外国子会社から受ける配当について、第23条の2の益金不算入の適用を受ける場合に、その配当に係る外国源泉税等の額は、所得の金額の計算上、損金の額に算入しないと定めています。
つまり、台湾子会社から配当を受けて、益金不算入の制度を使う場合は、台湾の源泉税を、日本の損金にはできません。益金不算入と外国税額控除の組み合わせは、別稿の配当の記事で整理しています。
手順
- 台湾で課された税が、法人税法第69条の外国法人税に当たるかを確認する。
- 所得が、国外源泉所得(第69条第4項)に当たるかを確認する。
- 控除限度額を、政令の計算で求める。
- 納付した台湾の税の額と、控除限度額を比べ、小さい方を控除する。
- 控除しきれなかった分は、3年内の事業年度に繰り越す。
- 配当は、益金不算入の制度を使うか、外国税額控除を使うかを整理する。
注意点
- 控除の対象になる外国法人税の範囲は、政令に委ねられています。
- 控除限度額の計算は政令に委ねられています。本稿は計算式を扱いません。
- 繰越しは「前3年内事業年度」の範囲です。
- 申告書の添付書類の詳細は、国税庁の案内で確認します。
よくある質問
台湾で払った法人税は、日本の法人税から引けますか。
外国法人税として、控除限度額を限度に、日本の法人税の額から控除できます(法人税法第69条第1項)。
控除しきれなかった台湾の税はどうなりますか。
当年度に控除しきれない分は、前3年内の事業年度の控除限度額に余りがあれば、その範囲で当年度に控除できます(第69条第2項)。当年度に控除しきれなかった分は、翌年度以降の3年内に、控除限度額に余りが出た年度に控除できます(第3項)。
取決めには、控除の規定がありますか。
第22条第1項が、日本の居住者が台湾で課された税を、日本の租税から控除すると定めています。
台湾子会社の配当に課された源泉税は、損金になりますか。
益金不算入の適用を受ける配当に係る外国源泉税等は、損金に算入されません(法人税法第39条の2)。
出典
- e-Gov法令検索「法人税法」第69条・第39条の2(2026-10-17 確認):控除限度額…を限度として、その外国法人税の額…を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する。
- 日本台湾交流協会掲載「日台民間租税取決め」(和文)第22条(2026-10-17 確認):当該居住者に対して課される日本国の租税の額から控除する。