台湾子会社と外国子会社合算税制|50%超の外国関係会社・租税負担割合20%(特定は27%)・日本側の確認ポイント
外国関係会社は日本側の持株が50%超。租税負担割合が対象外国関係会社は20%以上、特定は27%以上で合算対象外。
日本の親会社が台湾に子会社を持つと、日本の外国子会社合算税制(いわゆるタックスヘイブン対策税制)の対象になるかどうかを確認する必要があります。この税制は、持株割合、事業の実態、租税負担割合という条件で判定するため、台湾子会社でも検討の対象です。この記事では、e-Govで公開されている租税特別措置法第66条の6の条文にもとづいて、対象になる外国関係会社の定義、合算が行われない条件、判定の手順を整理します。具体的な計算や申告書の書き方は扱いません。
外国関係会社の定義
租税特別措置法第66条の6第2項第1号は、外国関係会社を、居住者、内国法人、特殊関係非居住者などが直接・間接に持つ割合が、次のいずれかで50%を超える外国法人としています。
- 発行済株式または出資の総数・総額に占める保有割合
- 議決権の総数に占める保有割合
- 剰余金の配当等を請求できる権利に基づく割合
また、居住者や内国法人との間に実質支配関係がある外国法人も外国関係会社です。実質支配関係とは、居住者や内国法人が、外国法人の残余財産のおおむね全部を請求する権利を持つ関係などです(同項第5号)。
合算の対象になる日本の法人
第1項は、合算の対象になる内国法人を、次のように定めています。
- 外国関係会社に係る保有割合のいずれかが10%以上である内国法人。
- 外国関係会社との間に実質支配関係がある内国法人。
- 同族株主グループに属する内国法人(一定の条件を満たすもの)。
100%出資の台湾子会社であれば、保有割合が10%以上であるため、この条件に当たります。
特定外国関係会社と対象外国関係会社
条文は、外国関係会社を2つに分けて、合算の対象にしています。
特定外国関係会社。 第2項第2号は、次のいずれにも当たらない外国関係会社などを指します。
- 主たる事業を行うために必要な事務所、店舗、工場などの固定施設を持っている。
- 本店所在地国で、事業の管理、支配、運営を自ら行っている。
- 外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする会社などの、一定の例外。
つまり、固定施設がなく、本店所在地国で管理を自ら行っていない会社(ペーパーカンパニーなど)は、特定外国関係会社になり得ます。
対象外国関係会社。 第2項第3号は、次の要件のいずれかに当たらない外国関係会社(特定外国関係会社を除く)としています。
- 株式等や債券の保有、知的財産権の提供、船舶や航空機の貸付けを主たる事業としていないこと(一定の例外あり)。
- 本店所在地国で、主たる事業を行うために必要な固定施設を持ち、事業の管理、支配、運営を自ら行っていること。
- 卸売業、銀行業などは、主として関連者以外との間で事業を行っていること。その他の事業は、主として本店所在地国で事業を行っていること。
合算が行われない条件
第7項は、次の場合に、第1項の合算の規定を適用しないと定めています。
| 区分 | 合算を適用しない条件 |
|---|---|
| 特定外国関係会社 | その事業年度の租税負担割合が27%以上 |
| 対象外国関係会社 | その事業年度の租税負担割合が20%以上 |
租税負担割合は、外国関係会社の事業年度の所得に対して課される租税の額が、その所得の金額に占める割合として、政令で計算した割合です。
台湾の営利事業所得税は、所得税法第5条により、課税所得が12万元を超えると、その全額に20%がかかります。ただし納税額は、12万元を超える部分の半分が上限です。12万元以下は課税されません。台湾子会社の租税負担割合が、政令の計算でどう出るかは、優遇措置の適用などで変わる可能性があります。個別に計算して確認します。
合算される金額
第1項は、適用対象金額のうち、内国法人が直接・間接に持つ株式等の数または金額に、請求権の内容や実質支配関係の状況を考慮して、政令で計算した金額(課税対象金額)を、その内国法人の収益の額とみなし、外国関係会社の事業年度の終了の日の翌日から4か月を経過する日を含む内国法人の事業年度の所得の計算上、益金の額に算入すると定めています。
適用対象金額は、外国関係会社の決算に基づく所得の金額について、日本の法人税法などの計算に準じて政令の基準で計算した金額を基礎に、事業年度開始前7年以内の欠損や、税額の調整を加えた金額です(第2項第4号)。
部分対象外国関係会社
台湾子会社が、特定外国関係会社にも対象外国関係会社にも当たらない場合でも、第8項は、部分対象外国関係会社の一定の所得について、一定の所得(部分適用対象金額)を別に合算の対象にする規定を置いています。この金額の計算は、この記事では扱いません。第12項により、その外国関係会社の租税負担割合が20%以上である場合、部分適用対象金額が2,000万円以下である場合、または所得に占める部分適用対象金額の割合が5%以下である場合は、部分合算は適用されません。全体の合算と同じく、租税負担割合の20%が分かれ目の1つです。
手順
- 台湾子会社に対する、日本の親会社と関連者の持株割合を計算する(50%超かどうか)。
- 内国法人としての自社の持株割合が10%以上かどうかを確認する。
- 台湾子会社に、事業を行うための固定施設があり、本店所在地国で管理を自ら行っているかを確認する。
- 主たる事業が、株式保有や知的財産の提供などに当たらないかを確認する。
- 卸売業などは、主として関連者以外との取引か、その他の事業は主として台湾で行っているかを確認する。
- 租税負担割合を、政令の計算で求め、20%(特定外国関係会社は27%)と比べる。
- 該当する場合は、課税対象金額を計算し、益金に算入する。
注意点
- 台湾の税率が20%でも、租税負担割合の計算では、優遇措置や調整が影響する可能性があります。
- 判定は事業年度ごとに行います。
- 部分対象外国関係会社の規定は、全体の合算とは別の規定です。
- 本稿は条文の整理です。実際の申告は、日本の税理士などの専門家に確認します。
よくある質問
台湾子会社は、外国子会社合算税制の対象ですか。
日本側の持株が50%超などで外国関係会社に当たるか、条文の条件に照らして確認します(租税特別措置法第66条の6第2項)。
合算されない条件は。
対象外国関係会社は租税負担割合が20%以上、特定外国関係会社は27%以上なら、合算の規定が適用されません(第7項)。
台湾の法人税率は20%ですが、それで安心ですか。
租税負担割合は、政令の計算で求める割合です。優遇措置などで変わる可能性があるため、個別に計算して確認します。
100%出資の台湾子会社はどう判定しますか。
保有割合が10%以上であるため、合算の対象になり得る内国法人に当たります。その上で、事業の実態と租税負担割合を確認します。
出典
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」第66条の6(2026-10-17 確認):特定外国関係会社の各事業年度の租税負担割合…が百分の二十七以上である場合。
- 全國法規資料庫「所得稅法」第5條(2026-10-17 查證):營利事業全年課稅所得額超過十二萬元者,就其全部課稅所得額課徵百分之二十。